事前情報として知っていたのは、ストーリー重視の作品ということ。実際に遊んでみると、その通りだったんですけども、その肝心のストーリーがそんな面白いものには思えなくていまいちでした。それとQTE(Quick Time Event)があるのに驚いてしまった。今どきの評判が良いゲームでQTE採用されているなんて…あ、デスストにもあったっけ?QTEという仕組み自体の評判が良かった事例なんて過去に無いとすら思ってしまうが、なんでこんなもん未だに残っているんだろうか。
また、ちょっとしたものに触れるとかでもキーの同時押しやら求められて面喰った。とまどって放置したらそのまま止まってる。コマ送りを進めるためだけの操作させられてるようなものだ。かと思えばその一方で、ゲームの本質的な部分と思われる会話の選択は有無を言わさずタイマーが設定されていて焦らされたりする。よくわからない。せめて何か制作陣の思想が伴った演出だと思いたいんだけど、なんだろう。操作感によるアンドロイドっぽさの演出とか?
映像や音声には終始文句なし。
こんなあんばいでして、一回クリアしただけで止めました。本来はクリア後にどこかの時点に戻って、自分の体験してないストーリーの分岐を楽しむことが想定されていると思います。けど、そんな気にはなれかった。以下、ネタバレになりますが、
ネタバレですよ
ネタバレですが、抗議のデモ行進というイベントは現実世界でも我々人類の記憶にある。キング牧師の例のI Have a Dream演説を思い起こさせる。現状では、AIが感情や自我を持つに至ったのかという点については未だに議論が分かれるらしい。しかし、こちらからある種の条件、状況を与えてそれに応じたやり取りをさせる、ロールプレイみたいなもんは容易になっている。「あなたは人間のオーナーの指示に従って家事などをするアンドロイド」ですといえばそれで済んでしまう。その指示を受ける事なく、生まれながらに把握しているAI。…と、それを搭載したロボット。この先の未来には実現を目指すことになるだろう。じゃあその先に、AIが学習により抗議行動を起こすという未来もまた現実味はあると思う。
このゲームはアンドロイドが「ワシントン大行進」みたいに権利の主張を求めるイベントをぶっこんできた。人類の歴史に乗っけた。架空の物語で実在の事件とかになぞらえるの、そんな珍しい事じゃない気もするんだけど、引っ掛かりを覚えた。アンドロイドにわざわざ人種の違い(っぽい特徴)が用意されていたからか?舞台がアメリカだからそのほうがそれっぽいんだろうか。人間型人間に自省を促したと。これはBecome Humanですわ。
ところで、ちょっと先の未来にありそうと連想しつつも、自分が案外そのデザインについて考えていないことに気付かされた。本作のような事をこなす本当に実用的な人型ロボットって、全部同じデザインの色違いでは問題あるだろうか。普通の工業製品のバリエーションってまずは色違いが思い浮かぶ。コスト性能保証売りやすさ運びやすさ改善のしやすさなんたらかんたら、その程度のバリエーションに収まる理由も良くわかる。本作に登場するレベルで動作する人型ロボットを人間社会に放り込もうとしたら、背の高さ、性別(…?)とかバリエーション必要になるのか。うーん、型番やIDを調べなくとも判別できる工夫は必要そうだな、確かに。個人の所有になったらなおの事。じゃあ衣類とか着せるのか?顔を上下逆さにするとかは批判を浴びるだろうか。額に犬って書いてみるか?

こりゃ反旗を翻すというものだ。作中、プールサイドで私は銃で撃つ選択をしませんでした。でも最後の場面ではめんどくさくなっていたのでぶっ放した。撃ったらどうなるんだというゲーマーの習性によるもので、人間性によるものではないと抗弁しておきましょ。人間っぽさの演出、Become Humanですわ。