本記事は物語の核心に関するネタバレが記載されています。
…と一般的な注意書きを書いておきますが、2023年盛夏、本作に関してこんな心遣いは必要なのか甚だ疑問であります。本作のファミコン版が世に出たのは1985年。ファミコンブームの真っ只中に本格的な犯罪推理アドベンチャーとして登場。テレビCMまであったんですって。その衝撃的な結末に人々は驚いたのでした。この筋書きがあまりにも有名になったため、「真犯人は誰か」という本作の核心の部分が独り歩きして広く流布し、インターネットが世に広まった頃にはすでに多くの人が真犯人を知っているような状態に。ゲームの本来の楽しみはこの時点で既に死んでおります。
しかし令和の世にまさかの復活したのが本作。AI版と銘打って時代の流行に乗った感じを出したものの、作品の中身は全く一緒のようです。物語が一緒なら真犯人も一緒というわけで、それを知った状態で始めるゲームの間抜けな事ったらない。犯人はお前やないかい、とツッコミを入れつつゲームが始まります。
んで。AI版というからにはAIが使われているんですが、これが大変に意味をなさない。オリジナル作品に比べると、捜査の指示を手入力する必要があるのですが、その入力された文章の解析とそれに対するリアクション部分にAIが使われているらしい。ただ面倒くさくなっただけではないのか、と思った方もいると思いますが、その通りなので大変に腹立たしいです。実際にプレイした人なら分かりますが、人間同士ならそのまま進むような言い回しのブレさえ、相方のヤスが行動に移ってくれません。なによりも、こんな呑気なものにAI版なんて看板付けたところで、chatGPTが世に出てきてしまう間の悪さ。AIの部分でもwebの無料サービスにぶっちぎりで差を付けられて、あえて言うなら晒しもの状態になってしまいました。まさかこんな状況になってしまうとは…ボス、どうします?
オリジナル作品は選択肢を選ぶわけですが、本作はユーザーの入力になります。ここでかろうじてAIの出番があります。日本語としてはコミュニケーション難しいような単語の切れ端、なんならタイプミスのような文字列でもゲームを進めることが出来るわけです。もしRTA競技と考えると…?そう、ここでユーザーのアイデア、試行、入力訓練に大きな意味を持たせることができるようになりました。
AIの挙動に誤動作を起こすコマンドを送り付けて盛大にぶっこわす、みたいなのがあれば見栄えもするのですが、そこまでの事はできないようです。おもちゃにすらならないクソゲーです。20年も前に死んでいるゲームに死体蹴りをするようなレビューではありますが、そりゃそうなるだろと言えるだけの中身なんですよ本ゲームは。RTA走者の方、お疲れさまでした!
以上です、ボス。